実用・二項係数
TL;DR
n\k | -4 | -3 | -2 | -1 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
-4 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | -4 | 10 | -20 | 35 |
-3 | -3 | 1 | 0 | 0 | 1 | -3 | 6 | -10 | 15 |
-2 | 3 | -2 | 1 | 0 | 1 | -2 | 3 | -4 | 5 |
-1 | -1 | 1 | -1 | 1 | 1 | -1 | 1 | -1 | 1 |
0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 |
1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 |
2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | 1 | 0 | 0 |
3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 3 | 3 | 1 | 0 |
4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 4 | 6 | 4 | 1 |
主な対象読者
重複組合せ を計算しようとしてやらかしたことがある人.
みんな納得すること
のとき, ということでよいと思います.
流儀 1
のとき の 次の項なんてものはないので, としてしまうのはありかもしれません.こうすると,二項係数の基本的な性質は以下のようになります:
- は では必ずしも成り立たない
- はすべての で成り立つ (これは から直ちに従います)
流儀 2
を にしたいことはしばしばあると思います.これをすると では のときだけ になって大変です.確かに は と について対称であってほしい感じがあるので,そういう方向で決めていくと, に対して,
- のとき
- のとき
とするのがよさそうです.間の ですが,全部 にすると以下を満たすことがわかり,都合がよさそうです:
- が はすべての で成り立つ
- は を除くすべての で成り立つ
を要請する時点でこの例外はやむを得ません.二項係数の式変形で にだけ注意すればよいのは,符号をいちいち気にするよりは楽かもしれません.
※追記 (2021/06/24) もすべての で成り立ちます.この式は個人的には の形が覚えやすいです.
お気持ち
に対し であると考えることがよくあります (例えば [1] の Chapter 1 の演習問題など).これで のときは がある意味正しくなります.
負整数の階乗が分子に来る場合は,分母と打ち消しあって有限の比になるように考えます. であるかのように, みたいにすると,流儀 2 がこれで上手く説明できます.
ここでは「それっぽい」ことを雰囲気で書きました.ちゃんとやるなら によってガンマ関数の特異点以外は で定義できて,それを な点以外で連続になるようにすると,流儀 2 で定めたような値になるようです ([2]).Wolfram 言語の Binomial
はそういう複素関数として計算してくれます.
参考文献
[1] Stanley, Richard P. "Enumerative Combinatorics Volume 1 second edition." Cambridge studies in advanced mathematics (2011).
[2] Weisstein, Eric W. "Binomial Coefficient." From MathWorld--A Wolfram Web Resource. https://mathworld.wolfram.com/BinomialCoefficient.html